相沢矢子の『旧約魔法』レポート

『驚かして大変失礼しました。私がこの美術館の本当の館長で依頼者であるマーベラー4世です。以後お見知りおきを』
 絵に書かれた青年はカクカクと動きながら矢子に深々と挨拶し、矢子も深々と挨拶で返す。
『君とそこの少年をビックリさせないように、二人に依頼者と執事に化けてもらったんだ』
「そうでしたか。それじゃあ絵がなくなったというのはウソ?」
『いや、絵がなくなったのは本当です。私ともう一つに描かれている彼女は、真ん中に集まると人間に戻れるのだが・・・』
 マーベラーが描かれている絵は、アニメショーンみたいにポロポロと涙らしきものが流れた。
「その絵を探せばいいんですね?」
『お願いするよ。あ、出来るならソワール氏が作った霧を発生させる装置を止めてくれないか?』
「装置を止める?」
『頼むよ。そうすれば、ここの住人が戻ってこれる。今は違うところに避難してもらっているんだ』