相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 二人はソワールが来るまで、クッキーを一枚でも食べようと不毛な戦いを始め、辺りにはクッキーのカスが飛び散った。
 コンコン。
 扉の向こうからソワールがノックをするが、二人はクッキーに夢中。
「失礼しま・・・」
 ソワールに気づいた矢子は、クッキーを食べるのをやめ、お茶で食べた物を流し込むのであった。
「すみませんソワールさん」
「話があるのは相沢さんだったかしら?」
「はい」
「それで話というのは?」
「町長や案内所の方がいないのですが、ソワールさんは誰か他にいます?」
「え?他?えっと・・・」
 すんなりと答えれないソワールを見て、先ほどまで呑気にクッキーを食べていた善明は口を開いた。
「ソワールさん、あなたは本当に依頼者ですか?」
「な、何です突然」
「もう一つ言うと、あの執事の人も本当はあなたの執事ではないのでは?お茶を客人に入れさせているし」
「・・・・・」