相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 それからしばらく相手からの返事を待つが、何の応答もない。
 ガチャ。
 扉に手をかけた矢子。どうやら鍵をかけておらず、ゆっくりと扉を開ける。そして、もう一度声を掛けるが返事はない。
「どうしようか?別のとこに行く?」
「その方がいいみたいだね。次はどこに行く?」
「役所や交番みたいなとこかな?」
「ちょっと待って」
 善明は先ほど撮ったものを確認。
「交番はないけど、この案内所って書かれたところならあるよ。よしここにしよう」
 二人は町長の家を去り、街唯一の案内所へ。町長の家から離れてはいるが、二人は先ほどの街へと戻り、またもや縫いいるように道を進む。
 案内所は小さくポツンと立っており、人が一人入れるくらいの大きさしかなく、建物はまるで大きな卵のような形をしていた。
 すみません。
 矢子は先ほど同様に声を掛けるが、またもや不在。しかも、不在を知らせる看板もなく、明かりは付けっ放し。