相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 もう一回。
 そう言ってカメラを街の者に向けるが、矢子は手でカメラのレンズを塞ぐ。
「取材は後、それよりやることがあるでしょう?」
「そうだった。それでこれからどうする?」
「あれ何てどう?」
 少し先にこの街の現在地と地図が書かれた案内板があった。二人はそれの前に行き、現在地を確認。
 今いるのはここかな。
 取材で地図を見ることに慣れている善明。それに比べ矢子は現在地すらどこかわかっていない。
「それで誰に話を聞く?」
「この街で一番偉い人から聞いてみようと思ってるの」
「それなら町長ってことになるな」
 善明は現在地から町長のいる場所を確認。ついでにカメラで街の地図を撮影。
 一方、矢子はわかったふりをするが、善明は矢子の言動を見る限りわかっていないことが見て取れる。
「これでよし。ここから5分くらいで着くかな」
「結構近いんだね」