相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「矢子、一つ聞いていいかな？」
「何？」
「矢子って人間だよね？」
「うん。こんなに可愛い悪魔がいると思う？」
　自分で言うなよ。
　と、言いたかった善明。しかし、悪魔の可能性があるかもしれないという思いから、それを口にしない。
「早く行こう。バスの時間もあるし」
　矢子は善明の手を引き、濃い霧の中へ。進んでも進んでも霧に変化はないが、何やらガヤガヤと賑わいの音が。
　ペンライトの光を頼りに二人は手を繋いだまま走り、その賑わいのする方に二人はダッシュした。


　その場所は霧が深いということ以外はどこにでもある普通の街並で、綺麗に整備された道路や表紙案内もあり、近くには川の流れる音も。
「いいところだね」
「ああ。よし記念に・・・と」
　カシャ。
　善明は矢子の手を離し、カメラでこの街並の撮影を開始。しかし、建物や道路などの建築物は上手く撮れるが、他は霧のせいで上手く撮れない。