相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「どうせならオレなんてどうです?旧約魔法は使えないし、いざとなれば霧吹きで眠らせるし」
「なるほ・・・いや待て。ちょっと待ってろ」
 シュタインは善明のペースに巻き込まれないようにするため、一度タバコを取り出すと一本に火をつけた。
 スーー・・・フゥーーー。
 スーー・・・フゥーーー。
 何度も吸っては吐きを繰り返し、シュタインは頭の中をリセット中。
 そして、一本吸い終えると再び善明に目線を向け、少し考えたのち口を開く。
「佐野とか言ったな?本当はお前も旧約魔法が使えるんじゃないだろうな?」
「時計台から望遠鏡で見てたでしょう?」
「お前、何故それを知っている?」
「ソワールさんの言葉とブリキ姫が時計台から覗いていたのを聞いて」
 冷静に答える善明を見て、シュタインは何を思ったのか突然高笑いを始め、不気味な雰囲気をかもし出した。
 やるなら今しかない・・・。