相沢矢子の『旧約魔法』レポート

　唾を飲んだ二人は、二人一緒に深呼吸をして心を落ち着かせ、無言のまま頷くとガーダーン美術館を出るのであった。


　辺りは先ほどに比べて、暗さが増しており、霧がない分それが一層際立っていた。
　二人は何度か通ったこの街をかけ走り、ソワールとシュタインがいるであろう廃棄場へ到着。
　前に来た時より廃棄物が崩れたこともあり、歩く場所も格段に増えている廃棄場。
　隠れそうな場所も少なく、矢子と善明は慎重に音を立てないで相手の姿を探す。
　誰もいないね。
　善明にしか聞こえないように話す矢子の唇は少し震えていて、その緊張が善明にも伝わったのか善明の手は震えている。
「廃棄場ってここだよね？」
「可笑しいな〜。誰もいないとなると道を間違えたか？」
「他に廃棄場ってないの？」
　善明はカメラで廃棄場が他にないか調べてみるが、同じような施設などなく、それに近いものもなかった。