相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「すみませんがこの方は?」
「彼は佐野善明君と言って、私のクラスメイトです」
「なるほど・・・それはそれは。このようか辺境な異世界へようこそおいでくださいました」
 執事は善明に深々と頭を下げる。
 こ、こ、こちらこそ。お招き・・・その・・ありがとうでございます。
 善明もその執事の行動をマネて、深々と頭を下げるのであった。
 それでは私について来てください。
 執事は持っていた小さなランタンの光を頼りに、この霧の中に吸い込まれるように歩を進め、矢子と善明もそれに続く。
 執事は慣れた足取りで右へ左へと何にもつまづくことなく、また、間違えることなく二人に目的地まで案内。
 二人を出迎えたその場所は大きな美術館らしき綺麗な建物で、門構えにあった看板には『ガーダーン美術館』という字が。
「ここに依頼者がいるんですか?」
「左様でございます。当主人が首を長くしてお待ちしております」