相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 そして人もいないのか妙に静かな雰囲気であった。
 ここは私がお金を出すね。
 矢子は持っていたサイフからお札を出すのだが、そのお札は日本で使われているお札ではないということはわかった。
 バスらしき車に降りた二人。
 矢子は先ほどの手紙を取り出すと書いてある地図を頼りに歩く。
 けれども、辺りの霧が行くてを阻むかのようにジャマをし、右に行けばいいのか、左に行けばいいのかわからない。
「あの〜すみません」
 そう言って、一人の男が二人に話しかけてきた。その男は先ほどバスらしき車に乗車していた者であった。
「もしかして相沢矢子様?」
「はいそうですが、あなたが依頼者の方?」
「いいえ。私は執事をしている者です。ようこそ霧の街ガーダーンへ」
 燕尾服を着て、ランタンを手に持つ70代くらいの男が現れた。
 その男は満面の笑みで矢子を出迎えるが、隣にいる善明に対しては不思議そうな顔を。