相沢矢子の『旧約魔法』レポート

　辺りを見渡すと見慣れない景色がそこにあり、ここがどこか確認する間もないままバスらしき車はトンネルへ。
「善明、今から行くところは危険だから私から離れないでね」
「・・・うん」
　バスらしき車はトンネルに入ると辺りはすっかり暗くなり、光といえばこの車の光のみ。
　ビュオーーー、ビュオーーー。
　外から強烈な風切り音が聞こえ、バスのガラスがガタガタと震えているように振動した。
　それからしばらくすると、トンネルの先から光が見え、その光に吸い込まれるように走るバス。
　ふぅー。
　どことなく不安を感じた善明の顔に余裕が持てるようになっていた。
　一方、矢子の顔はそれとは逆になって不安がどんどん増しているよう。


　バスらしき車が止まり、ドアが開くと一緒に乗っていた乗客が席を立ち、それに続いて矢子も席を立つ。
「目的地ってここ？」
「うん」
　着いたその場所は霧深いのか、10mほどしか先が見えない。