事情がいまいち飲み込めていない矢子はソワールに近づき、ソワールはますます警戒を見せる。
「あ、あの・・・」
「こ、来ないでください。これは渡しません!」
「え、いや、大丈夫ですか?あんなに勢いよく走ったりして」
「はい?」
「それとそれが霧発生装置ですか?」
「え?な、何を言っているんです?トボけないでください」
「トボケル?」
 互いに話が噛み合っていないことに気づき、矢子もソワールも困惑を見せていた。
「ソワールさんはどうしてここに?」
 一部始終後ろで見ていた善明は、質問をソワールに投げかけた。
「この機械を止めに・・・」
「なるほど。もし本当ならソワールさんはシロか。まあ始めから関係はないと思っていましたが」
「シロ?関係ない?」
「実はこの霧発生装置を悪用しようとした人物がいまして」
 そう語る善明を見ていたソワールは、矢子と善明から目を離そうとせず、相変わらず警戒中。