すると下から誰かが上がってくる音が聞こえ、矢子と善明はその音に耳をすませた。
「ほら言ったじゃん!何かあるって」
 矢子は善明の身体を突つきながら、善明にしか聞こえないくらいの大きさで伝えた。
「わかったわかった」
 矢子をなだめていると相手は二人のいるところで止まり、ランタンの光からソワールの姿がそこに。
 ウソ!!!!!
 驚いた矢子は時計台を揺らすような大きな声を出し、善明とソワールの耳を塞がせた。
「あ、ごめんなさい。でも、どうしてここへ?」
「お二人方のことが。・・・それより装置はありましたか?」
「まだ見つかってなくって。彼が言うには一番上の屋上じゃないかと」
「屋上・・・わかりました。後は私が何とかしておきますから、お二人はお帰りください」
「え?」
 矢子がわけを聞こうとした次の瞬間、ソワールは凄い勢いで階段をスタスタと上がって行き、その様子に矢子は驚きを隠せない。