相沢矢子の『旧約魔法』レポート

 その言葉の後、善明は五階に上がりパスワードを入力。
 その後、矢子のいた部屋が開き、更に上から先ほどのとは別の音が鳴った。
 矢子はそのまま五階に行くと、そこには善明が何かを調べている姿が確認出来た。
「善明!」
「あ、無事に開いたんだ」
「迎えに来ても良くない?で、何をしてるの?」
「新しい階段が現れて」
 矢子が登ってきた階段とは別の場所から現れたその階段は、左右に光で照らされた長い階段。
 上から聞こえてくる風は何かを吸い込みそうな音で、侵入者を拒んでいるようであった。
「どうする?行く?」
「当たり前じゃん。ここまで苦労したんだし、今更帰るわけないでしょう」
「はいはい。オレが先に行くからついて来て」
 二人は一歩一歩慎重に上がり、どこまでも続いてそうな長い長い階段を使って上を目指す。
 しかし、どれだけ進んでも先は長く、ところどころその階に通じるであろう通路があった。