相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「ねえ相沢さん」
「あ、矢子って呼び捨てでいいよ。相沢さんって普段呼ばれ慣れてないから、変な感じがして」
「そう?ならオレは善明で。それで話は戻るけど、さっきの危険って何?」
「それは・・・」
 どう話していいかわからない矢子は、下を俯いた。
「そんなに危険なとこなの?一応この前空手で二段を合格したから、まあ少しくらいなら」
 利き手で胸をドンと叩き、矢子を安心させようとする善明。だが、矢子の顔にそのような様子はない。
「善明はさ、旧約魔法出来る?」
「旧約?何かさっきそんなこと言っていたね。何それ?」
「やっぱり出来ないか。私、善明を守るから安心して」
 そう誓った矢子は先ほど善明がした行動でそれを返した。
 守る?そんなに頼りないかオレ?
 そうこうしているうちに、バスらしきこの車は何やらトンネルへと近づいて行く。
「あれ?この辺にあんなとこあったっけ?」