相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「だといいんだけど・・・。もう行こうか?」
 二人は食べたものを片付けると、ようやく時計台の中へ入るのであった。


 電気をつけ、一階にある機械が姿を現すと、二人はそのまま二階へ上がった。
 二階の機械は通常どおりの作動で、特段変わった様子はない。
「ここは探したけど、何にも見つからなかったよね」
「ああ、矢子の散らかし・・・アレ?片付いてる?」
「本当だ。・・・ってことは」
 矢子と善明は頷くだけで言葉にせず、気を引き締めて先に進むことにした。


 トンタンタンタンタン。
 慎重に三階に上がるとそこには時計台の機械以外何もない空っぽの部屋。
 矢子はそのまま四階に上がろうとしたが、善明がそれを止めた。
「もしかしたらこの部屋に別の通路があるんじゃない?」
「その可能性はあるかも」
「オレが先に入るから、ここで待ってて」
 トントン。
 善明は片足を使い、罠などがないか慎重に歩を進め、矢子はその様子に固唾を飲んだ。