相沢矢子の『旧約魔法』レポート

「ゴメン佐野君。取材はまた今度にしてもらえない?」
「え?また?」
「また今度ね」
 ちょ、ちょっと待った。
 しかし、矢子はそれ以上何も言うことがないまま、中庭から離れるのであった。


 教室から学生カバンを取りに戻り、友人に別れの挨拶を告げ、矢子はそのまま学校を飛び出した。
 そして、校門から少し離れたところで再度手紙を開いた。
 手紙に書かれている場所の住所をスマートフォンで確認しながらその場所へ。
 それから10分ほどで目的地に到着。
 その場所はあまり人が通るような路地ではなく、猫一匹いない静かで見通しのよい場所。
 すると矢子は手紙に同封していたペンライトを出し、スマートフォンでまたもや何かを確認。
 あの〜。
 不意に後ろから声を掛けられた矢子は、最初は固まっていて振り向けずにいた。
 しかし、もう一度声をかけられたので、ゆっくりと振り向くと善明の姿が。