季節外れの雨が降り注ぐ。
 その強いとも弱いとも取れないある雨の日。ある中高一貫校の部室からその雨の音を一瞬消すかの如く怒号が響く。
 何度言えばわかるんだ!!
 その言葉の後も、ノンストップで話は止む気配はなく、それが終わるまでひたすら耐える。
「いいか善明、こんな記事じゃあ誰も見ないんだよ。村上の記事を見ろ!あいつは最近話題のパジャマヒーローの撮影に成功したんだぞ」
 そう言って、善明に先週この学校で発行した学級新聞を机に叩きつけるように出し、その記事部分に指をさした。
「お前もこれくらいの大スクープを取ってこい!!」
「あ、あの部長いいですか・・・」
「うん?何だ?要件なら早く言えよ」
 善明を怒っていたこの新聞部部長の小川俊哉は、イラついた顔のまま善明の方に顔を向けた。
 しかも目が悪く、常な目を細めていることもあってまるで睨んでいるような様子だ。