サヨナラなんて言わせない

「わかってないよ!あんたがやろうとしてることは薄氷を踏むのと同じなんだよ?一歩間違えればその何よりも大切な存在を失うかもしれないんだよ?!それでもいいって言うの?!」

親友の言葉が胸に突き刺さる。

涼子を失ってしまうかもしれない。

俺にとって何よりも恐ろしいことだ。

だが、今の俺にはそれ以上にこの得体の知れない胸の苦しさから解放されたいという欲望の方が大きくなってしまっていた。

どうやっても消すことができなかった心の闇が唯一和らいだ瞬間。
それが涼子を傷つけてしまうと理解していても、自分をコントロールすることができない。
それくらいこの時の俺の心は不安定だったのだ。


「わかってるんだ・・・・・わかってる・・・・それでも・・・・」

「司・・・・」


頭を抱え込んだまま震える俺の頭上から大きな溜息が聞こえた。


「・・・・・・・・わかったよ。あんたの言うとおりにするよ」

親友の言葉に弾かれたように顔を上げた。
奏多は複雑な表情で俺を見つめている。