サヨナラなんて言わせない

不安で涙を溜めて俺に抱きついてくる彼女が愛おしくて、俺はいつにも増して激しく彼女を求めた。
甘い言葉をこれでもかと囁いて、翻弄して、これ以上はもう無理だと泣いてもその手を緩めることはなかった。

そうして愛されるだけ愛されて泥のように眠る彼女を見ていると、あれだけ苦しかった胸が驚くほどすっきりしていることに気が付いた。


・・・これは一体どういうことだろうか・・・?


俺はこれまで経験したことのない高揚感で充たされていた。




「・・・・それで?これからも私にその誤解したままの相手でいろってこと?」

「・・・・・・」

一連の流れを聞いた奏多の顔が怒りで震えている。
当然のことだろう。
ありもしない嘘の片棒を担げと言っているのだから。
しかもやっていることは最低だ。

「司・・・。あんた自分の言ってることわかってるの?どれだけ最低なことやってるかわかってるの?彼女をどれだけ傷つけることなのか・・・」

「わかってるよ!!そんなことは俺が一番わかってるんだ!」

ガンッと机を叩いた音で一瞬だけ店内が静まりかえった。