サヨナラなんて言わせない

「あ~あ、三度目の正直を信じてたんだけどな」

「・・・・・ごめんなさい」

苦笑いをする男に涼子はひたすら小さくなって謝り続ける。

「その相手が羨ましいよ。こんなにモテモテの君のハートを射貫いたんだからね」

「そんな、もててなんかいません!」

「それは嘘だろう?入社してから既に何人かに告白されたの知ってるよ。まぁどれも玉砕だったけどさ」

「・・・・」

何も言い返せずに俯く涼子に困ったのか、男はポリポリと頭を掻くとバツが悪そうに笑った。

「俺もしつこくてごめんね?でもいい加減あきらめるよ。呼び止めてごめんな?駅まで送るから」

「え、大丈夫です」

「駅までだから。安心して」

「・・・・・・はい・・・」

涼子よりも先輩にあたるのだろうか。
結局彼女は断り切れず、そのまま駅の方向へと一緒に歩いていってしまった。

俺はそんな二人の後ろ姿をただ見つめていることしかできなかった。