サヨナラなんて言わせない

だがそんな俺の不安定な心をさらに揺さぶることが起こる。
互いに忙しい日々が続いて、なかなかゆっくり会う時間が作れない中でのことだった。

久しぶりに週末会おうと思っていた矢先、
偶然にも互いの会社で飲み会があり会えなくなってしまった。
だいたいの場所は聞いていたから、運が良ければ会えるかも知れないとは思っていた。

だがこんな偶然は想定外だった。


2次会に向かう途中、見覚えのある姿を視界に捉えて慌てて追いかけると、やはりその先には涼子がいた。2週間ぶりだ。彼女も飲んだのだろうか、少し頬が赤い。
帰ろうとしているのか、一人で歩いている彼女に声をかけようと一歩踏み出した。

次の瞬間、一人の男が追いかけてきて彼女の肩に触れた。

「待って!三国さん、やっぱりもう一度考えてもらえないかな?」

驚いた彼女は困ったような顔で振り返ると、ゆっくり首を振った。

「ごめんなさい・・・・私には大切な人がいるのでお受けできません」

「どうしても?」

「・・・はい。本当にごめんなさい」

小さな声だが、彼女ははっきりと拒否の意思を示した。
男ははぁ~っと溜息をつくと、がっくりと肩を落とした。