サヨナラなんて言わせない

「・・・・・ん?」

トイレから研究室に戻った俺の前に、机の上に広げられたものに食い入るように見入っている女の子の姿が目に入ってきた。
あれは・・・この前の子・・・?まさか俺に用か・・・?

俺はどうしようかと迷いつつもゆっくりと近付いていく。
だが、いくら距離が縮まろうともその子は振り向きもしない。
そうこうしているうちについにはその子の真横まで辿り着いてしまった。
・・・・が、全く俺に気付く気配がない。
その子が視界に捉えているのは視線の先にあるものだけ。

・・・・そう、俺が描いた設計図だ。

「そんなに気に入りましたか?」

「はい!とっても!この家が実際に建ったらって想像しただけでもう楽しくて・・・・
って、えっ?!」

うっとりしながら饒舌に語っていた顔が一瞬で我に返る。
真横に俺が立っていることに初めて気付いた彼女は驚きの余り飛び上がった。
・・・・・・気付くの遅っ!!

「え?!あ、あのっ・・・・・」

「・・・・・・ぷっ、あはははははははは!」

しどろもどろで慌てる彼女の姿に、俺は気が付けばお腹を抱えて笑っていた。
そんな俺の姿に、その子はますますどうしていいのかわからず、
さらにオロオロするだけだった。