サヨナラなんて言わせない

「涼子、涼子っ・・・・!」

「つかっ・・・・くるしっ・・・・・」

社長の熱い抱擁に涼子さんが苦しそうに声を漏らしたとき、二人の体をバリッとカナさんが引き剥がした。

「こらっ!嬉しいのはわかるけど赤ちゃんがいるんだらかね?激しいことは厳禁でしょ!!」

「ハッ!!悪いっ!涼子大丈夫か?お腹は?どこか痛いところはないか?!あぁ、どうしようか、俺のせいで何かあったら・・・・・」

我に返った社長は真っ青な顔であたふた彼女の体中を見て回る。

「だ、大丈夫だから!大丈夫!だから落ち着いて、ねっ?」

「・・・・・・本当に大丈夫か?」

ニコッと微笑んで頷く姿を確認すると、社長はハァ~~っと心の底から安堵したように息を吐き出した。そして涼子さんの手を取ると本当に嬉しそうに笑った。その目には涙が浮かんでいる。

「涼子、ありがとう。体を大切にしような」

頷く涼子さんも涙ぐんでいて、思わずそれを見ている俺の目頭まで熱くなってくる。

「ふふっ、だからあんたが一番気をつけなきゃダメでしょ?っていうか今からこれじゃあ産まれたら一体どうなっちゃうのかしら?」

「はは、本当だな」

からかうカナさんの目も潤んでいて。
今この空間は信じられないほど温かい空気に包まれていた。