サヨナラなんて言わせない

「涼子ちゃん、おめでとう!」

「あ・・・ありがとうございます」

俺に続いてカナさんも嬉しそうに声をかけると、涼子さんは赤い顔のままはにかむように微笑んだ。だが向かい合う社長は未だに身動き一つせずフリーズしたままだ。

「し、社長・・・?」

顔の近くで手をヒラヒラさせても何の反応もなし。

「はぁ・・・・ったく、コラッ、司っ!!しっかりしろっ!!」

呆れたように溜息を零すとカナさんがパンッと大きな音で手を鳴らした。その音にビクッと肩をゆらすとようやく社長の魂が戻って来た。驚いた様子のままあらためて涼子さんの顔を覗き込む。

「あ、あぁ・・・・・・・涼子、本当に・・・・・?」

「・・・うん。最近体がだるいなって思うことが増えて、それで色々考えたらもしかしてって思って、病院に行ったら3ヶ月だって・・・・・・」

間抜け面で彼女の言葉を聞いていた社長の体が次第にぶるぶると小刻みに震え始めた。

「し、しゃちょ・・・・・・」


「涼子っ!!!!!!!!!」

「きゃっ?!」


突如雄叫びを上げたかと思えば次の瞬間にはガバッと涼子さんを抱きしめていた。ギュウギュウという効果音が相応しいほどそれはそれは激しく。