サヨナラなんて言わせない

そう言って室内を見渡した。

社長が特に想いを込めてつくっていたこのマンション。
それは涼子さんとの夢を叶えるためのものだった。
南條さんが家を建ててインテリアを完成させるのが涼子さん。
それが二人の夢だったそうだ。

彼女が戻ってくるまではずっとここには何も置く気はなかったらしい。
たとえ一生戻ってこないとしても、その決意に揺るぎはなかったのだとか。

正直、俺はそこまで思える相手に出会ったことはない。
未練を残して別れた相手はいたけれど、時間薬という言葉があるように、月日と共に少しずつその想いも褪せていった。そしてまた誰かを好きになる。


でも南條さんは違う。
後にも先にも彼が本気になれるのは涼子さんだけ。
それはどんなに時間が経とうとも、どんな誘惑があろうとも変わらなかった。
そしてこれからも変わることはないのだろう。
こんなにいい男なのに実は凄まじく一途だなんてちょっとずるすぎるんじゃないか?


室内を彩るインテリアは、まるであつらえたようにこの家のデザインにピッタリのものばかり。いかに二人の相性がいいのか、この室内を見るだけでも嫌というほどに伝わってくる。

もう悔しいほどにお似合いの二人なのだ。