サヨナラなんて言わせない

その後、数日何の音沙汰もない日が続いた。
事情が何一つわからない俺にとっては不安な日々だった。

そんなある日社長が事務所にひょっこり現れた。
俺は安心したのと嬉しさですぐに飛びついたが、彼の様子はやはりいつもとはどこか違って見えた。カナさんと別室で何やら話をしていたけれど、俺には何も教えてもらえなかった。

個人的な話ならば聞く権利はない。
でも仕事を休んでまで一体何が・・・・?
俺にも教えて欲しい。
そう思ってしまうのは当然の心理だと思う。


「色々気になると思うけど、もう少しだけ待ってやって。司自身がまだ話せるだけの状況になれてないのよ。
時期が来たら絶対に話すから信じて待ってやってほしいの」

社長がいなくなった後にカナさんにそう言われた。
相変わらず何の話なのかさっぱりわからない。
でも、何故だか不思議とその言葉が信じられた。

俺が憧れて止まない南條さん。
その親友であるカナさん。
彼女(彼か?)が言うのならばそうなのだろう。
本音を言えばすぐにでも事情を聞きたい。

・・・でも、信じろと言ってくれるならそうする。
彼らも俺を信頼してくれているのだと信じて。