サヨナラなんて言わせない

それからまた慌ただしい日々を過ごしつつ、比較的落ち着いてきた時期に事務所にとある一本の電話が入った。それは南條さんが手がけた施設のデザインが大賞を受賞するというものだった。

凄い凄い凄い!!!
彼といるとあり得ないことが次々に起こる。
本当に凄い人だ!
当然のことだが全員が喜びに沸いた。

・・・・のだが、その後突然彼が事務所から飛び出して行ってしまった。追いかける暇もないほど本当に突然のことで何が起こったのか全く理解できない。カナさんは何か思い当たる節がある様な感じだったけれど、何も教えてはくれなかった。
まぁ何か急用でもあったに違いない。用が済めばすぐに帰って来るだろう。
俺はそんなことを考えていた。


でもその予想は外れた。

週明けになっても社長は仕事に来なかった。無断欠勤だ。
休むこと自体あり得ないのに連絡すらないなんて。
俺は何か事故にでもあったんじゃないかと心配になった。

だがカナさんはどこか冷静で、もう少し様子を見ようと言った。
正直納得できない部分もあったが、俺にはわからない事情があるのかもしれないと、素直に彼女の言葉に従うことにした。幸い、仕事の早い南條さんのおかげで今迫った仕事もない。
それに、これまで全く仕事を休まなかった彼なのだから、時には休んだっていいんだ。そう言って自分を納得させていた。