サヨナラなんて言わせない

仕事では相当厳しい森さんの雷がいつ落ちるかとヒヤヒヤしていたけど、意外にも彼は何も言わなかった。
ただ黙って南條さんを見守っている、そういう風に見えた。

皆が憧れる南條さんの変わりように、しばらくは事務所全体もなんだか暗い雰囲気に包まれていた。気になって仕方がないけれど、誰も何も聞くことができない、そんな感じだった。

こんな空気がいつまで続くんだろう・・・・

俺まで気持ちが滅入りそうになった頃だった。


ある日を境に南條さんが復活したのだ。
これまた本当に突然で、周囲も一体何が?!と呆気にとられていた。


「個人的なことで皆さんにご迷惑をかけてしまい本当に反省しています。これからは迷惑をかけた分、いや、それ以上に働いて恩返ししていきますので、また宜しくお願いします」


復活と同時にそう社員に謝罪した南條さんは、まさにその言葉通りの働きぶりを見せていく。もともと仕事のできる人だったけど、復活した彼はその比ではなかった。

ただただ凄い。

その一言だった。