ピクッ

横から聞こえてきた声の持ち主をジロリと睨むと、その男はいつもと変わらない飄々とした様子で口元に笑みを浮かべている。

「・・・・なんでお前がいるんだよ」

「聞いてませんか?僕もメンバーだからですよ」

「そうじゃなくて、同期でもないお前がなんで涼子の同期会メンバーなんだって聞いてるんだよ」

そう、目の前のこの男。
中村は後輩のくせに同期会メンバーに入っているという。
そんなの既に同期会じゃないじゃないか!
涼子は俺のものだって胸を張って言えるけれど、彼女に惚れていた男がいつも近くにいるかと思うと面白くない。何よりもこの男は悔しいくらいにできる男だから尚更だ。

「だって年齢の枠を超えた絆で結ばれてるんです、僕たち。いちいち妬かないでくださいよ。案外余裕ないんですね」

「何だと?お前まだ涼子のこと・・・」

パコッ!
ポコッ!

「てっ!」「たっ!」

その時、突然背後から頭を叩かれ同時に声が出る。
驚いた俺たちがこれまた同時に後ろを振り向くと、右手に何かの冊子を丸めたものを握りしめた涼子が仁王立ちしていた。