サヨナラなんて言わせない

男パワー炸裂のダイブで俺の体はそのまま壁に激突する。

「いってぇ!奏多、少しは手加減しろっ!」

「司、司、つかさぁ~~~!!!よかったね、よ゛がっだねぇ~~~っ」

オイオイと不細工な顔で号泣する親友の姿に、俺までもらい泣きしそうになる。

「・・・・ほんとに色々心配かけた。こうなれたのも支えてくれたお前のおかげだ。・・・・ありがとう、奏多」

「・・・・・・奏多じゃなくてカナって言っでぇ~~!!!」

「ははっ、そこかよ!!」

「う゛~~~っ」

俺のためにこうして涙を流してくれる友がいることの幸せを感じる。
本当に、彼がいなければ今の俺の幸せはないのだ。
感謝してもしきれない。俺は世界一の幸せ者だ。


「ちょっとちょっと!!俺だけ置いて二人の世界に入らないでくださいよ!だから涼子さんって誰なんですか?社長の恋人ですか?俺にも教えてくださいよ!」

俺にしがみついていたカナの体を引き剥がすと、岡田は必死で話に入ろうと縋る。そんな岡田をグチャグチャの顔でカナはしばらく見つめると、やがて静かに答えた。

「・・・・・・・あんたはまた今度ね」

「・・・・・・・・・・え、えぇーーーーーーーーっ?!そりゃないっすよぉ~~~!!!」

「ハハハ!」

「社長っ!はははじゃないっすよ!ちゃんと教えてくださいよぉっ!」

岡田の叫び声と、俺の笑い声と、カナの泣き声と、
この日はこの事務所ができて一番の笑い声に包まれた賑やかな朝だった。