サヨナラなんて言わせない

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「おはようございます、社長。今日も割と遅かったですね・・・・って、どうしたんですか?!その顔っ!!」

「えっ、また?!」

岡田の叫び声に奥にいたカナが慌てて飛び出してくると、二人して物珍しいものでも見るように俺の顔をマジマジと覗き込んでくる。その凄まじい迫力に思わず後ずさる。

「司・・・・あんたその顔・・・・」

「な、何だよ・・・」

一体何なんだ、二人して。俺の顔に何かついてるのか?

「社長、失礼を承知で言いますけど、今めっちゃくちゃ緩んだ顔してますよ?」

「えっ?!」

ハッとしてカナを見るとその顔がみるみる解れていく。

「司・・・・あんた・・・・・?」

期待に目を揺らめかせながら俺の答えを待つカナに、俺は大きく頷いた。

「あぁ。涼子とやり直すことになった。今まで心配かけて悪かった」

「え?涼子さんって誰ですか?・・・って昨日も聞きましたよ、俺」

俺とカナを交互に見ながら岡田だけが話についてこれないでいる。カナはそんな岡田に構うことなく顔を上げると、突然俺の体に飛びついてきた。

「司ぁっ!!!!!」

「おわっ!!」