あれから二人で食べたオムライスは今までで一番美味しかった。
急なことで材料が足らず、肉も入っていない味気ないものだったはずなのに、それでも別格に美味しかった。涼子も弾けるような笑顔で美味しい美味しいと食べてくれた。

くだらない話をして、腹の底から声を出して笑いあった。
あんなに心の底から楽しいと思ったのはいつぶりだろうか。

彼女が俺を見て笑ってくれるだけで、これまでモノクロだった世界が一気に色鮮やかな世界へと変わっていく。


「ん・・・・」

ゴソッと寝返りを打った涼子が俺の胸元へと擦り寄ってくる。
俺は再びベッドの中に体を横たえると、その体をそっと抱き寄せた。

・・・・あたたかい・・・・

確かに涼子がここにいる。
今、俺の腕の中に。


熱くなる目頭に力を入れてぐっと堪えると、無邪気な顔で眠る彼女の唇にそっとキスを落とした。


「愛してるよ・・・」


今日こそは顔を見て「おはよう」を言おう。

そう心に誓うと彼女を抱いたまま俺もゆっくりと目を閉じた。