足を止めて慌てる彼女の方に振り返ると、握りしめた手にさらに力を込めて彼女を見つめた。

「本当は二人のマンションに帰りたいところだけどまだ何もないから。だから涼子に色々揃えてもらうまでは涼子のマンションで暮らそう」

「・・・・え?!」

涼子の目が大きく見開かれる。
当然だろう。
だが、もう二度と離れるのはごめんだ。

「俺はもう一時も涼子から離れていたくはない。3年前のような・・・・今朝のような思いはもう二度としたくないんだ。涼子が俺の所に帰って来てくれたんだっていうことを毎日実感して過ごしていきたい」

「司・・・・」

涼子の瞳がさっきよりも揺れている。

「涼子をたくさん傷つけてしまった分、これからはもう二度と悲しませることがないように俺の愛情を全て君に注ぐよ。だから覚悟していて」

そう言うと、彼女の頬がうっすら紅く染まった。
・・・・あぁ、またそんな顔を見せて。
君はいつもそうやって俺を無意識に煽るんだ。昔から。
一分でも一秒でも早く帰りたい。そして・・・・・

「あ、あの・・・・」

「さ、早く帰ろう」

ニコッと微笑むと、いまだ戸惑いを隠せない彼女に構わず再びその手を引いて家路を急いだ。