サヨナラなんて言わせない

「・・・・涼子・・・」

情けないほど声が震える。
・・・・・その先の言葉を言わないで欲しい。


全てを受け止めるなんて嘘だ。
ちっともその覚悟なんかできちゃいない。
『今さら』その一言だけでこんなにも胸が抉られそうに苦しい。


「・・・・今さらだよっ!なんで?ねぇなんで?3年以上も付き合ってて、いくらだって本当のこと打ち明けるチャンスはあったじゃん!話してくれれば私はちゃんと受け止めたよ?私、本当に傷ついたんだよ?辛かったんだよ?悲しかったんだよ?ボロボロになったんだよ?それを今さらやり直そう?愛してる?ふざけんなっ!!」

だがそんな俺の勝手な願いも虚しく、彼女の口からは次々に絶望的な言葉が溢れてくる。
やがてこちらまで駆け寄ってくると拳で何度も何度も俺の胸を叩いた。


「バカっ!クズっ!弱虫っ!おたんこなすっ!」

まるで子どものような罵倒を繰り返しながら、大きな彼女の瞳からボロボロと涙が零れていく。それは彼女の長年の痛みと苦しみを如実に語っていて。

その涙を拭ってやりたいと思っても俺にはそんな資格などあるはずもなく。
ただ、ただ謝罪の言葉を述べるしかできなくて・・・・


そんなどうしようもなく愚かで無力な自分に打ちひしがれるしかなかった。