サヨナラなんて言わせない

「涼子、まずは謝らせて欲しい。記憶が戻ったにもかかわらず君を騙していて・・・本当にすまなかった」

そう言うと俺は頭を下げた。彼女は表情を変えずに黙って聞いている。

「俺・・・君に謝らなければならないことがいくつもあるんだ。・・・・俺は昔も君のことを散々傷つけた。君が泣いて苦しんでるのを知っていながら・・・何度も同じ過ちを繰り返してしまった。こんなことを言われても今更ってわかってる・・・でも俺は」

「聞いたよ」

「え?」

「昔のこと、少しだけ。・・・・カナさんから」

・・・・・・何?一体何を言ってるんだ?
カナ・・・?何故涼子の口からカナの名前が・・・・
だって、涼子はカナのことを・・・

「カナが?!まさか・・・・いつ?」

「もう2週間以上前になるかな。会社を出たところで声をかけられて。カナですって言われて、これは殴り込みに来られたんだって思った。てっきりあの時から関係が続いてたんだろうって思ってたから」

「涼子、それは・・・」

「そしたらいきなりまさかの告白から始まって。・・・・他にも、いろいろ聞いた」


全く想定外のことに言葉が出てこない。
カナはそんなこと一言だって言っていなかった。


『何かいいことでもあった?』『凄くいい顔してる』


カナが言っていた言葉を思い出してハッとする。
・・・・だからか?
涼子に会っていたからあんなことを・・・?