サヨナラなんて言わせない

大きな声で駆け込んできた俺の姿に室内にいた人物がビクリと揺れる。
凄い形相をしているであろう俺の姿に驚いているその相手。

それは、この3年求め続けたただ一人の女性だった。

夢ではない。
本当に今目の前に彼女がいる。
彼女の意思で俺に会いに来てくれた。


「はぁはぁはぁ・・・・涼子・・・・・・・俺、」

何かを言わなければと思うのに、上がった呼吸で思考が追いつかない。

「・・・そんなに走ったら」

「え?」

「そんなに走ったら下の人に迷惑でしょ?心配しなくても私は逃げないから。
・・・・・今度こそちゃんと話を聞くから」

「涼子・・・」


呆れ顔でそう言った涼子の目がどこか優しい。
・・・・これまで感じていた棘のようなものを一切感じない。

そのことに体中から力が抜けていく。

落ち着け。
ようやく彼女と向き合うことができるのだ。
冷静に、伝えたいことをきちんと一つ一つ話すんだ。

俺は数回深呼吸をして気持ちを整えると、まっすぐ涼子の目を見て話し始めた。