サヨナラなんて言わせない

「・・・・ったく、相変わらず悪趣味ですよ」

「ハハハ、そう気を悪くするなって。しばらくはお前の傍にいて狙いを定めてる女を遠ざけてやるから」

そう言って森さんが視線を動かした先には、明らかに俺をちらちらと見ている女が数人いる。

「・・・・どうせなら最後までいてくださいよ」

「ガハハッ!そりゃあさすがに無理だな。俺にも付き合いがあるってもんよ」


森さんはこう見えてもこの世界では有名人だ。こういう場ではいつも彼とのコネクションを何とか作りたいと多くの人が寄ってくるのを昔からよく目にしてきた。
今さらながら学生の頃から彼の元で働けた俺は本当にラッキーだったと思う。

「新進気鋭のイケメン建築デザイナーはどんな美女にもなびかない硬派なモテ男」

「・・・・・・何ですか、それ」

「知らないのか?業界じゃお前はそう呼ばれてるんだよ」

ニッと不敵に笑う森さんを前にまたしても特大の溜息が出る。

「くだらない」

「ははっ、確かにな-。でも、そんな硬派なイケメン男の心を掴める本命の女ってのはどんなんなんだろうな?」

「・・・・・・・・・」