サヨナラなんて言わせない

ニッコリと営業スマイルを貼り付けて答える俺に、女の顔が引き攣るのがわかった。
取材を受けているときから何かとモーションをかけてくるこの女にはほとほと困り果てていた。仕事と混同して誘ってくるからなおタチが悪い。
それなりの地位を得て自分に自信があるようだが、俺にはそんなことは関係ない。
仕事がある以上これまではあまり強くも出られなかったが、今はもう遠慮する必要もない。

「そ、そうですか・・・・。それならまた機会があれば是非その時にでもお願いしますね」

オホホと引き攣った笑いで会釈をすると、女はそそくさと俺から離れていった。
おそらく狙った獲物は高確率で手に入れるタイプなのだろう。
かなりプライドを傷つけられた様子だ。


「・・・・・はぁ、めんどくせぇ・・・・」

髪に手を突っ込んでガシガシと頭を掻きながら盛大な溜息が出る。


「相変わらずもてる男は辛いねぇ~」

後ろから聞こえてきた軽快な声に振り向けば、よく見知った顔があった。

「森さん・・・・見てたんなら助けてくださいよ」

「いやいや悪い悪い、お前があの女豹をどうあしらうのか興味があってな」

ニヤニヤ笑いながら俺の元まで来たこの男こそ、俺の恩人でもあり人生の師だ。