サヨナラなんて言わせない

それから俺は、まさに死んだ者のように眠るという言葉がぴったりなほど深い眠りの世界へ落ちていった。夜が明け、昼前にカナが来るまで一度も目が覚めることはなかった。
一体何日分の睡眠をまとめて取ったのだろうか。

自分で考える以上に体は悲鳴を上げていたらしい。
それも当然かもしれない。
毎日朝4時に起きて出勤、一日仕事をこなして涼子に会いに行く。その日によって帰ってくる時間はバラバラ。結局話せずじまいでまた事務所へ戻って仕事をする。そして夜中に自宅に帰ってきてほんの2、3時間程度寝てまた出勤。おまけに時間がもったいないから食事もろくなものを取っていない。

こんな生活を続けていれば体を壊すのも当然か・・・・社長失格だな。
はぁ~っと盛大な溜息が零れる。

「なぁに~?人がせっかく来てるのにそんな大きな溜息つかないでよ。失礼しちゃうわね!」

「あ、悪い。別にお前に対しての溜息じゃないんだ」

食欲はないが早く良くなるためにも無理矢理手元のサンドイッチにかじり付く。
そんな俺の様子をカナはじっと見つめている。

「・・・・まだあんな無謀な生活を続けるの?」

ぽつりと呟いた言葉に手が止まる。
カナはそんな俺の答えを待つようにただ黙って見ているだけ。