サヨナラなんて言わせない

「・・・よしっ!ちゃんとご飯食べて薬飲みなさい。あんたん家は調理器具はおろかレンジすらないから、悪いけど冷たいままだから我慢しなさいよ?」

ひとしきり泣くと、カナは気持ちを切り替えたように明るく振る舞う。

「・・・・それは構わないけど、あんま食いたくないな・・」

「駄ぁ目!最近ろくに食べてないんでしょう?それに凄いクマ。少しは食べてもらわないと治るものも治らないわよ」


カナの言葉が少し前の自分と重なって見える。
涼子が寝込んだとき、俺も同じようなことを言った。

あの時は確かに彼女との距離が縮まったはずだったのに・・・・

「司っ?聞いてるの?!」

「あ?あぁ、悪い・・・ちょっとボーッとしてた。そうだな、ちゃんと食べるよ」

その言葉に満足そうに頷いたカナは、大きなバッグからおにぎりや果物、ゼリーなど、俺が食べられそうなものを次々に並べていった。


俺は一人じゃない・・・・


くじけそうなとき、いつもこうして友が支えてくれる。

その幸福を噛みしめるように俺はおにぎりを口に含んだ。