サヨナラなんて言わせない

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「過度の寝不足と栄養失調だな。風邪薬は出しておくから、あとは栄養のあるもん食ってしっかり休ませるように」

「わかった。剛ちゃん、ごめんね?無理言って」

「いいってことよ。困った時はお互い様だ。じゃあな」

「ほんとにありがとう!」



玄関先で見送りを終えたカナが室内へと戻ってくる。
その顔は怒っているようでどこか悲しげにも見える。

「全く・・・私が連絡しなかったらどうなってたかわからないんだからね!
このバカっ!!」

ただでさえ割れそうな頭にカナの怒鳴り声がグワングワンと響き渡る。

「・・・・わかったから・・・俺が悪かったから、声のボリュームを落としてくれ・・・」

「あんたにはこれくらいのお灸が必要なのよ!もうほんとに・・・」

本気で怒りながらも本気で心配してくれているのが伝わる。

「さっきの人は・・・?」

「あぁ、剛ちゃん?私が夜の仕事してるときによくお世話になった個人医院の先生。そっち系の仕事やってる人に融通をきかせて看てくれる人でね。私も何度かお世話になってるうちに知り合いになったのよ」

「そうか・・・悪かったな」