「社長~、今日もまた予定があるんですか?」
「あぁ、悪いな」
「え~、もう一体いつになったら元に戻るんですか?また社長とカナさん達のお店に早く行きたいっすよ~」
俺が事務所を出る身支度をしている横で、岡田が口を尖らせてブーブー不満を漏らす。
店というのはカナが昔からバイトしていた例のバーのことだ。
岡田はカナの事情は知っているが、あのバーにいる女性が実はほとんどがそっちの人だということはまだ知らない。俺が言うのもなんだが、カナは普通に女性と言ってもわからないくらい中性的で綺麗な顔立ちだ。そしてあのバーで働いているのもカナに匹敵するくらい綺麗な、カナ曰く『上玉クラス』だけを集めているのだとか。
だから岡田以外にもそれに全く気付かずに常連になっている客は多くいる。
そんなことも全く知らない岡田はすっかりあのお店の虜になっている。
いつ真実を打ち明けようかと思っているうちに気が付けば今に至っているのだが・・・
「悪いな。ちゃんと落ち着いたらいくらでも奢ってやるから。もうちょっと待ってろ」
「本当ですか?あの店じゃなくてもいいから早く社長と酒飲みたいですよ~」
「わかってるって。もう少しの辛抱だから」
なんだかんだでもう一ヶ月近く俺の我が儘に付き合わせてるんだもんな・・・
え~・・・と未だに納得できなさそうな岡田に悪いと思いつつ、俺は身支度を終える。

