サヨナラなんて言わせない

3年前、同じような失意の底にいた俺だったらこうはならなかっただろう。
ただ自分のふがいなさに打ちひしがれるだけで、自分の足で踏ん張ることなんてできなかった。
あの時、奏多が俺をこれでもかと責めてくれていなければ、今の俺はいない。

そしてそれから死にもの狂いで前へ進んできたという確かな時間が、俺を強くしてくれる。

もうあの時の俺じゃない。

だから簡単に身を引くことなんてできない。


「・・・・どうするの・・?何か考えでもあるの?」

やつれた顔とは対照的な俺の強い言葉に圧倒されたのか、カナはまるで俺に秘策があるかのように聞いてくる。

「何もない。ただ誠心誠意、真正面から謝るだけだ」

「司・・・・」

「悪いんだが、しばらく早めに退社させてもらっていいか?涼子の帰宅に間に合うようにここを出たいんだ。ただし仕事に支障を来すようなことは絶対にしないと誓う。その分早く来て、用が済めばまた戻って来て仕事をする」

「そんな・・・いつまでそんなことが続くかわからないのに、そんな生活続けてたら本当に倒れちゃうわよ!」