サヨナラなんて言わせない

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主のいない部屋の中をあちらこちらと落ち着かずに動き回る。
視界の端には今日のために腕によりをかけて作った料理が映りこむ。
デジタル時計はもうすぐ11時を示そうとしていた。


・・・・おかしい・・・
こんなに遅くなるなんて一体どうしたんだ?
仕事が忙しくて残業しているのだろうか?
だが今朝話をしたときはそんな話は一言だってしていなかった。
それに今日は話を聞いてくれると承諾だってしてくれている。
それなのにこんなに遅くなるなんて・・・

連絡先もわからないから待つ以外ににどうすることもできない。


まさか・・・・
まさか事故にでもあってるんじゃないだろうか?

その可能性を考えて背筋がゾクッと震え上がる。

そんなことは絶対にないと信じる!


悪い思考を振り払うと、もう何度目かわからない様子を見にエントランスまで降りようと振り返った。



カチャッ・・・



その時玄関から微かな物音が聞こえてきた。