サヨナラなんて言わせない

驚いたのも束の間、次の瞬間にはなんとも情けない声が聞こえてきた。

「岡田・・・・またお前か」

思わず溜息が零れた。お前は一体どれだけ俺が好きなんだ。
どうやらこいつは最近俺がこの辺りにいるのをカナからちらっと聞いていたらしい。まぁ森さんの事務所がここから近いのもあるから今日こうして会ったのはさすがに偶然だろうが。
・・・それにしても本当に嬉しそうだな。その姿に思わず苦笑いが出る。

「だって社長が会社を空けてからもうすぐ2週間ですよ?僕たちでフォローできることもそろそろ限界に近付いてますって」

「・・・・わかってるよ」

確かに。
いくら相当早めに仕事を仕上げる俺とはいえ、これ以上休むことは現実的に難しい。こいつが言うことは至極真っ当な意見だ。

「今まで一日だって休んだことないのに、いきなりこんなに休暇を取りたいだなんて、一体何があったんですか?」

「・・・・・」


・・・そう。
俺はこの3年、一度たりとも仕事を休んだことはない。
休日ですら仕事をしていた俺がこれだけ休むなんて、不思議に思って当然だ。
だがいくら大切な部下だとはいえそれはまだ話すわけにはいかない。
彼の疑問は当然なものだが、全てのことが終わってからだ。