サヨナラなんて言わせない

迎えた運命の朝。
俺は緊張と興奮で一睡もできなかった。
今日はいつにも増して朝日が目に染みる。

態度には決して出さず平常心で涼子と接する。
そしていつものように玄関まで見送りに来たところで彼女を呼び止めた。

「涼子さん」

靴を履いた涼子がこちらに振り返る。
こうして目と目が合うだけで鼓動が高鳴る。

「・・・・今日帰ってきたら、話を聞いてもらえませんか?」

「え・・・?」

「お願いします」

少しも目を逸らさず真っ直ぐに彼女を見つめて話す俺の姿に、涼子の顔色が変わった。言葉にできない緊張感が二人の間を駆け巡る。

「・・・・わかった」

しばらく黙り込んでいたが、やがて何かを決意したように彼女はゆっくりと頷いてくれた。その言葉にほっとする。
いよいよなのだと。


「じゃあ行ってくるから」