サヨナラなんて言わせない

やはり予想通り熱は下がった。
ずっと離れていても彼女に対する勘は全く衰えていなかったことが嬉しい。
これでひとまずは安心だ。
だが彼女の場合絶対に無理は禁物だ。ぶり返しやすいタイプなのだから。

「・・・・そうですね。大丈夫です」

その言葉を聞いた彼女が明らかにホッとしたように息を吐いた。

「ただし。6度9分という非常に微妙なラインであることに違いはないので、僕はもう数日様子を見させてもらいます」

「・・・・・は、はぁあああああ????なんで?ちゃんと熱下がってるじゃん!っていうか一体あんたに何の権限があるっていうのよ?!」

「権限はありません。でも決めたので駄目です」

俺のワンマンな発言に涼子は心底呆れたような顔をしている。
でもこれくらい言わないと彼女はすぐに無理をするのだ。
強引だとはわかっていてもこちらも譲るわけにはいかない。

「大丈夫です。涼子さんが数日経ってももう大丈夫だとわかれば約束はちゃんと守りますから」

「でも、」

「じゃあ今日のご飯はリビングで食べましょうね。先に行って待ってますから」

「ちょ、ちょっと・・・!」

まだ文句を言いたげな彼女に有無を言わさず、俺は彼女をその場に残してリビングへと戻った。