サヨナラなんて言わせない

「そうしたら・・そのうち寝ぼけた涼子さんが僕にしがみついてきて、それがすごい力で・・・無理やり引き剥がすのはどうしてもできなくて、だからそのまま・・・・すみません」

衝撃の事実を聞かされた涼子の顔がみるみる青ざめていく。
頭を抱えて信じられないと考え込んでいる。

昔と変わらないその感情の豊かさに俺は目を細める。
君にとってはショックなことかもしれないが、
俺にとってはこの上なく幸せなハプニングだったんだ。
ごめんな、涼子。突き放すなんてできなかった。

しばらくぐるぐると考え込んでいた彼女が何か思い出したのか、
ハッとした顔で俺を見上げた。
恐る恐るといった感じで口を開く。

「あの・・・私何か変なこと言ってなかった・・・・?」

ドキン

・・・・言っていた。

『他の女のところにいかないで』『そばにいて』

寝言とはいえ、彼女が俺に対して昔言った本音と同じだった。

「・・・・・・いえ?そんなことはありませんよ」

答えるまでに間が空いた俺の様子に涼子はますます不安げな顔をする。