サヨナラなんて言わせない

中から着替えを取り出すと、眠ったままの涼子の元へと戻る。

「本当にごめん。絶対見ないから」

もう一度彼女に謝ると、起こした体を足元で支えながら汗で濡れた衣類を脱がせていく。
焦点をずらして彼女の体が視界に入らないように注意しながら手を動かす。
同時進行で汗を拭き取ると、体が冷めないうちにすぐにスウェットを着せた。
目で直に確認しなくても、驚くほどするすると作業が進んでいく。
自分の心が、体が、その一連の動作を完璧に覚えていた。

そうしてあっという間に着替えを終わらせると、今度こそ本当にベッドに寝かせた。寒くないように布団を首元までしっかり掛ける。
すぐに薬が効いてくるはずもなく、変わらず呼吸は荒いままだ。

「俺のせいでこんな目に遭わせてごめん・・・すぐに良くなるから。たくさん眠って」

冷却シートを避けるように頭をそっと撫でながら苦しそうな彼女の様子を見守る。


「・・・・・・で・・」

「え?」

体がきついせいでうなされているのか、苦しそうな顔で彼女の口が何かを呟く。
彼女の言葉を聞き漏らさないように口元に顔を寄せて耳を澄ました。