サヨナラなんて言わせない

「涼子っ!!」

俺は思わず彼女の名前を叫んでいた。

彼女が倒れた場所まで全力で走っていくと、すぐにその体を引き起こす。
顔は真っ赤に染まり額にはうっすらと汗が滲み、はぁはぁと呼吸も荒れていた。

「涼子、しっかりしろ!」

やはり彼女は無理をしていたんだ!
朝どうして強引にでも引き止めなかったのか、自分に激しい憤りを覚える。

「涼子、大丈夫だからな」

ぐったりと力の抜けた彼女の体を抱き上げると、急いでマンションの中へと戻っていった。



家に上がると、俺は躊躇うことなく涼子の部屋へと入っていく。
そっと彼女の体をベッドに横たえると、一旦リビングに戻ってあらかじめ準備しておいた薬や冷却剤を手に取り再び部屋へと戻る。
必要な薬とスポーツドリンクを手にすると、はぁはぁと肩で息をする涼子の体を少しだけ起こした。

「涼子、薬だよ。口を開けて」

呼びかけるが目を閉じたまま何の反応も示さない。
可哀想だが薬を飲んでもらわないことにはどうにもならない。

俺は彼女の頬に手を添えると軽く叩いて意識を呼び戻す。
その刺激にやがて涼子の瞳がうっすらと開いた。